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第2回 「眠れる資源」で6次産業化 秋田杉エッセンシャルオイル

秋田杉エッセンシャルオイル

「和精油」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。日本の樹木から抽出したエッセンシャルオイルが近年そう呼ばれ、アロマテラピー愛好家の間で人気を集めている。佐藤智子さんが代表を務めるアトリエアンダンテから発売されている秋田杉エッセンシャルオイルもそんな和精油のひとつ。県産品で6次産業化を叶えたビジネスモデルを追う。

profile

佐藤 智子さん
アトリエアンダンテ 代表(秋田県秋田市)

林地残材として放置されている未活用の杉葉に着目し、秋田杉エッセンシャルオイルの製造・販売を事業化。「あきたビジネスプランコンテスト2015」優秀賞受賞。

「アトリエアンダンテ」加盟店情報
https://www.shinkuminet.com/shopguide/shopinfo_net1.html?id=1010384
佐藤 智子さん

平日は派遣社員の顔を持つアントレプレナー

平日は派遣社員の顔を持つアントレプレナー

桜の花がほころび始めた3月下旬。プロモーションイベントのために秋田県から上京中のアトリエアンダンテ代表、佐藤智子さんを戸越銀座の地域起点ショップ「ここから」に訪ねた。
自らプロデュースする秋田杉エッセンシャルオイル「美林の雫」シリーズの企画・開発・販売を一手に担う佐藤さん。だがそれだけではない。平日は企業に常勤勤務する派遣社員、家庭では高校生の母と、八面六臂のマルチタスカーの顔を持つ。「派遣のほうが時間がもう少し自由になるから」と長年勤めた職場を辞め、自分の事業に注力できる働き方にシフトしたのだという。

起業のきっかけを訊ねると、「子育てが一段落したタイミングでもあったから」と。「ずっと構想を温めていて、満を持して起業?」という質問には、「いやぁ、そういうわけでも」と首をかしげる。
「でも自分で何かしらの事業をするんだという気持ちは子どもの頃からあった。自営業の家庭だったのでそれはごく当たり前に。小学生の頃は、新薬を作りたいって思っていたの」とチラリと「リケジョ」の片鱗をのぞかせた。大学で経営学を専攻したのも事業への思いがベースにあったからだ。しかし「子どもが高校生になるまでは子育て中心」と覚悟を決めていた。「起業」の二文字が佐藤さんの頭をかすめたのは、大学卒業から20年以上が経った頃だった。

もともとアロマ愛好家だった佐藤さんが「和精油」に初めて出会ったのは、国産の木材精油が商品化されたごく初期の頃のこと。今でこそ和精油にもさまざまな種類があるが、当時はヒノキとヒバぐらいしか種類が無かったという。秋田に生まれ育った佐藤さんとしては、「スギ精油って無いのかなぁ」と釈然としないものを感じたという。そう、秋田といえば日本三大美林のひとつ、秋田スギの産地なのである。

源氏香がモチーフのラベルも佐藤さんの発案。
源氏香がモチーフのラベルも佐藤さんの発案。
初めての方におすすめのトライアルセット。
初めての方におすすめのトライアルセット。
イベントではカウンセリングでユーザーの反応を探るという。
イベントではカウンセリングでユーザーの反応を探るという。
サポートスタッフとして同行の秋田県信用組合職員と。
サポートスタッフとして同行の秋田県信用組合職員と。

宙に浮いた研究をベースに商品化を実現

宙に浮いた研究をベースに商品化を実現

「木曽ヒノキ、青森ヒバから精油ができるのなら、秋田スギの精油もあっていいはず。どうしてスギの精油は無いのだろう?」
そんな何気ない疑問の答えを探すうちに、秋田スギに誇りを持つ秋田県民としては見逃すわけにはいかない情報に行き当たってしまった。なんとスギ精油抽出の研究は2009年にスタートしていて、スギ葉部から精油を抽出する技術はすでに開発さているというのだ。林野庁の助成を受けた産学官連携事業として研究が進められていたにも関わらず、事業化の一歩手前で宙に浮いてしまっている状態にあるという。しかもその研究の舞台というのは秋田スギのお膝元、秋田県立大学木材高度加工研究所なのだ。

子どもの頃から心に灯し続けていた思いに火がついた。「秋田スギからも和精油は抽出できる」という確信を得た佐藤さんは、事業化に向けて下地を固めていく。まず木材高度加工研究所の元所長で理学博士の谷田貝光克さんにコンタクトをとり、協力企業や精油抽出技術について指導を仰いだ。一方で、秋田県の女性を対象に起業支援活動をしているヴィーナスクラブに参加し、起業を志す仲間とのネットワークを広げていった。

「チームのリソース」という図を佐藤さんが見せてくれた。谷田貝元所長をはじめ、原料供給(1次産業)、精油製造(2次産業)、企画・販売(3次産業)といった各部門が連環する様子を表している。秋田杉エッセンシャルオイルを商品化するために佐藤さんがやったこととは、事業化の裏付けとなる情報をキャッチして、宙に浮いていた研究を再構築していく作業だったことが見えてくる。佐藤さんがキーパーソンになり、連携するべき人と人、業者と業者が、ひとつの軸でつながる体制をつくり上げていったのだ。結果的に秋田県ならではの6次産業化の実践例にもなったという。

木材精油研究をリードする木材高度加工研究所
木材精油研究をリードする木材高度加工研究所
指導を仰いだ理学博士の谷田貝光克さん
指導を仰いだ理学博士の谷田貝光克さん

佐藤智子さんはプロデューサー

いわゆる産学官連携をはじめとして、研究機関には企業とのコラボレーション企画がさまざま持ち込まれます。佐藤智子さんからは、「精油の抽出機はどんなものがいいか」といった相談を受けましたが、事業規模に対してかなり大きな抽出機を考えているようでした。企業の商品化プロジェクトというようなレベルの話ではないと正直最初は思いましたが、抽出機についてアドバイスしたり、精油抽出の確かな技術を持つ地元企業を紹介しました。ご自身でもビジネスパートナーを開拓してネットワークするのが得意な方です。プロデューサーのような役割を担っているのが佐藤さんです。私は彼女のPRの腕も見込んでいるので、秋田杉エッセンシャルオイルを世に広めてくれるだろうと応援しています。

profile

理学博士
谷田貝 光克さん

東京大学名誉教授
香りの図書館 館長
秋田県立大学 木材高度加工研究所 元所長

谷田貝 光克さん

購買層が変化するアロマテラピー市場を洞察

購買層が変化するアロマテラピー市場を洞察

その過程のなかで佐藤さんがまず着目したのは「林地残材」だった。50年前に日本各地に植林されたスギは近く一斉に伐採適期を迎え、林地残材はさらに深刻化する。林業関係者にとって頭の痛い問題だ。しかし佐藤さんからすれば、良質の原料が大量に放置されているということだ。林地残材は「眠れる資源」だと佐藤さんは言う。 さらにもうひとつ、事業化へのモチベーションとなったのが、アロマテラピー市場の購買層が高齢者にまで拡大しているという情報だった。近年、医療や介護と結びついたメディカルアロマテラピーという分野が生まれている。香りによって記憶が呼び起こされる「プルースト効果」が学会発表された影響などもあり、認知症に悩む高齢者を中心に従来とは違う層にまでマーケットが広がっているのだ。

「美林の雫」シリーズは現在、ベーシックな秋田杉エッセンシャルオイルと、季節に合わせたブレンドオイル4タイプの計5タイプをラインナップしている。ブレンディングを担当するのはアロマテラピーショップ「ORANGE TREE」の斎藤晴子さん。ヴィーナスクラブを通じて知り合ったビジネスパートナーだ。秋田の森林の香りのポテンシャルが引き出されているので、ぜひ季節に合った香りでリラックスしてほしいという。 そんな「美林の雫」シリーズのプロモーションに力を入れる佐藤さんだが、すでに次なる目標を見つけていて、精油抽出後のいわば出がらしの杉葉の利活用についてリサーチ中だという。本当は佐藤さんのそんな起業スピリットこそが「眠れる資源」だったのではないだろうか。

ローレル・マジョラム・フェンネルをブレンドしたスプリングバージョン。
ローレル・マジョラム・フェンネルをブレンドしたスプリングバージョン。
ライム・レモン・プチグレンをブレンドしたサマーバージョン。
ライム・レモン・プチグレンをブレンドしたサマーバージョン。
ヒバ・ミルラ・ユーカリディペスをブレンドしたオータムバージョン。
ヒバ・ミルラ・ユーカリディペスをブレンドしたオータムバージョン。
ベルガモット・ローズウッドをブレンドしたウィンターバージョン。
ベルガモット・ローズウッドをブレンドしたウィンターバージョン。

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秋田杉エッセンシャルオイル
10名様

佐藤智子さんが商品化した秋田杉エッセンシャルオイル(5ml)にトライアルセットをおつけして抽選で10名の方にプレゼント!

応募締切
2016年5月31日(火)

秋田杉エッセンシャルオイル

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