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第26回 日本人が大好きな味 ─ 銚子山十の「ひ志お」

日本人が大好きな味 ─ 銚子山十の「ひ志お」

醤と書いて「ひしお」。それは清少納言や紫式部も食べたであろう、おそらく日本最古の発酵調味料だ。後世は庶民に広まり、昔の醤油屋ではおかず味噌として職工たちに愛されていた。銚子山十の当主、室井房治さんはその味を「日本人が大好きな味」と表現する。

profile

室井 房治さん
株式会社銚子山十 代表取締役社長(千葉県銚子市)

東京理科大学を卒業後、財団法人日本情報処理開発センター(JIPDEC)に就職。同職と青山学院大学非常勤講師を兼任後、家業を継ぐため26歳で帰郷。消防団員としても長く活動し、後年は地域防災・危機管理、郷土史等の研究者、また消防団長としても活躍。

室井 房治さん

大豆と大麦を発酵させた日本最古の調味料「醤」

大豆と大麦を発酵させた日本最古の調味料「醤」

読者の皆さんは、「醤」を食したことはあるだろうか。ちなみにここで言う「醤」は「ジャン」ではなく、日本古来の「ひしお」という発酵調味料のことだ。見た目は味噌、醤油を思わせる味わい、しかしその歴史は味噌や醤油よりも古い調味料である。一体どんな調味料なのか。その製法を受け継ぐ銚子山十の現社長、室井房治さんに伺った。

「昔の醤油屋では、醤(ひしお)が職工さんの賄いに欠かせないおかず味噌だったんです」

銚子山十は、1630年に紀州で創業した醤油醸造元の系譜を受け継ぐ老舗だ。やはり醤油と近縁にあるようだ。

「醤油の麹造りは24時間の温度管理が必要で、醤油屋はたくさんの職工を抱えて三食を賄っていたんです。そこで醤油を作るかたわらで、醤油と同じ材料でできるおかず味噌を賄い用に作っていた、それが醤です」

「その醤をスピンアウトさせて、銚子山十ではそれだけの製造販売を始めたということですか」

「そうです。『ひ志お』という字を当てて、銚子の名産品として売るようになったようですね。江戸時代後期の旅行ガイドに、銚子のお土産物として『山十のひ志お』と紹介されています」

「今回初めて醤を食べましたが、醤油と味噌のいいとこ取りのようにも思いつつ、醤油とも味噌とも違う独特な感じもしたのですが」

「塩分は12%程度と醤油より控えめですが、アミノ酸由来の味や風味は醤油に近いものです。日本人が大好きな味ですよ」

ひ志お セイロ入り 250g(使い切りサイズ6個入り)
ひ志お セイロ入り 250g(使い切りサイズ6個入り)
ひ志お 紙袋入り 200g(使い切りサイズ5個入り)
ひ志お 紙袋入り 200g(使い切りサイズ5個入り)
源醤(ひ志おの液体部分) 210g 
源醤(ひ志おの液体部分) 210g 
辣醤2(ラージャンジャン) 60g
辣醤2(ラージャンジャン) 60g

存続させることを第一義に置く経営

存続させることを第一義に置く経営

しかしビジネスとして考えると、今の時代に「ひ志お」が生き残っていくのは簡単なことではないと室井さんは話す。

「大量生産に適していないので、儲けることを目的にしたら続きません。食文化としての『ひ志お』を存続させる。そこに経営の目的を置かなければ続いていかないでしょう」

室井さんが家業に携わるようになった1970年代、銚子山十では自社製品以外にも地元の名産品を幅広く扱っていた。しかし室井さんは、10年、20年という年月をかけてラインナップを精査し、「ひ志お」とともに生き残っていくブランドとして銚子山十を再構築していったという。

昨今よく耳にするKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)という用語があるが、実はKPIはKGI(Key Goal Indicator=重要目標達成指標)を達成するための中間目標にすぎない。KGI、すなわち企業が目指す最終ゴール。銚子山十にとっては「ひ志お」の存続、それこそがKGIなのである。

「おかげさまで旅番組などで紹介されることもあって、テレビに出た後は500件ぐらいネット注文が来ることもあります」

ホームページを開設したのは20年前。大学で経営工学を学び、政府系シンクタンクで研究職に就いていた室井さんの自作だという。

「買い物カート以外は自作しました。ホームページが無かったら家族経営で500件の注文をさばくのは不可能。電話が鳴りっぱなしでこちらは仕事にならないし、お客さんも電話がつながらなければ諦めてそれっきりでしょうね」

浸水した大豆と大麦を混ぜ合わせ木桶に投入。
浸水した大豆と大麦を混ぜ合わせ木桶に投入。
木桶の下から蒸気を注入して蒸していく。
木桶の下から蒸気を注入して蒸していく。
この状態で2時間蒸し続ける。
この状態で2時間蒸し続ける。
蒸しあがって粗熱を取った大豆と大麦。
蒸しあがって粗熱を取った大豆と大麦。
麹菌を投入して混ぜ合わせていく。
麹菌を投入して混ぜ合わせていく。
麹フタに小分けにし、麹室で3泊4日培養。
麹フタに小分けにし、麹室で3泊4日培養。
塩水を混ぜた麹を50kgずつ仕込み樽へ。1年半ほど熟成を経て「ひ志お」になる。
塩水を混ぜた麹を50kgずつ仕込み樽へ。1年半ほどの熟成を経て「ひ志お」になる。
重石を載せると出てくる水分の上澄みを漉したものが醤油の原型。「源醤」として販売している。
重石を載せると出てくる水分の上澄みを漉したものが醤油の原型。「源醤」として販売している。

26年の消防団活動で見えてきた受け継ぐべきもの

26年の消防団活動で見えてきた受け継ぐべきもの

シンクタンク時代の室井さんは、コンピューターをどのように社会生活や産業に役立てるかという、いわばITの先駆けとも言える研究をしていた。

「かけ離れているように見えて、思考法や発想法は今の仕事にも通じるところがあります。どんな経験も生きるものです(笑)」

「そういえば消防団員としての活動も長年されていますね」

「消防団はね、地方で地元に根ざした商売をしていると当然の責務と言いますか‥‥(笑)」

「でも最後は消防団長までされてますよ」

「ええ、最初は義務的なところもあったのですが、この歳になって分かってきたことがあるんです。人間が災いとして受け取るか、恵みとして受け取るかの違いであって、災害も醤も銚子の自然あってのものです。自然からの恩恵を受けるなら、脅威とも向き合わなきゃいけないということです」

太平洋に突き出た銚子。その歴史には数々の自然災害の記録が刻まれている。しかし醤を育んだのも、そんな銚子の気候や地理的条件なのだ。銚子に息づく防災の知恵と、醤油や醤といった食文化。それらを一対のものとして継承していかなければと、室井さんは感じるようになったそうだ。

「後継者は決まっているんでしょうか」

「ええ、娘が継いでくれます」

「力仕事もありそうですが、女性が後継者なんですね」

「今はもう、そういう時代でしょ(笑)」

銚子山十は、2030年に創業400年を迎える。風土に育まれ、老舗が守ってきた「日本人が大好きな味」。一度味わってみてはいかがだろうか。

室井さん「発酵食品どうしの相性はバツグン」。「ひ志お」とクリームチーズ。
室井さん「発酵食品どうしの相性はバツグン」。「ひ志お」とクリームチーズ。
焼肉に「ひ志お」をトッピング。ご飯やお酒が進んでしまう組み合わせ。
焼肉に「ひ志お」をトッピング。ご飯やお酒が進んでしまう組み合わせ。
素材の味を引き立てる「ひ志お」を、醤油の代わりとして刺身に。
素材の味を引き立てる「ひ志お」を、醤油の代わりとして刺身に。
ルーツを紀元前中国まで辿れる醤(ひしお)。回鍋肉などの中華料理にも。
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室井さん「『ひ志お』は食材を引き立てる名脇役」。うにの濃厚さに負けず、繊細な旨味を際立てる。
室井さん「『ひ志お』は食材を引き立てる名脇役」。うにの濃厚さに負けず、繊細な旨味を際立てる。
「ひ志お」とマヨネーズを1:1で混ぜるだけの超簡単な万能ソース。「よく混ぜるのがコツ」と室井さん。
「ひ志お」とマヨネーズを1:1で混ぜるだけの超簡単な万能ソース。「よく混ぜるのがコツ」と室井さん。

プレミアム会員限定PRESENT

ひ志お 紙袋入り
200g
30名様

応募締切
2018年6月30日(土)

賞品

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ひ志お・関連調味料の製造販売
株式会社銚子山十(千葉県銚子市)

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