しんくみネット

しんくみネット特集 > 第29回 地域の未来像、模索して生まれた「富士夏媛」

特集

特集一覧に戻る

第29回 地域の未来像、模索して生まれた「富士夏媛」

地域の未来像、模索して生まれた「富士夏媛」

富士山を間近に仰ぎ見るビュースポットが随所にあり、観光で栄えてきた富士北麓。しかし特産の農産物がなく、日本各地で盛んになる地域ブランディングを手をこまねいて見るばかりだった。そんな中、満を持してスタートしたのが夏いちご栽培。「富士夏媛」は地産地消は目指していない。ゴールはもっと高いところにある。

profile

羽田 了さん
株式会社富士山アグリファーム 代表取締役社長(山梨県富士吉田市)

富士北麓地域の新たな特産品として企画された「夏いちご栽培」に、信用組合職員としてプロジェクト立ち上げ時より参加。都留信用組合地域支援部部長を経て、2017年10月より現職。生産を軌道に乗せた現在、ブランド化を目指して事業を拡大中。「富士夏媛」のネーミング考案者でもある。

「株式会社富士山アグリファーム」加盟店情報
https://www.shinkuminet.com/shopguide/shopinfo_net1.html?id=1011102
羽田 了さん

勤続41年の信用組合部長がいちご栽培?

勤続XX年の信用組合部長がいちご栽培?

取材申し込みの電話を入れたのは、方向を見失った生暖かい風が時より突風になって巻き上がるような日だった。「(社長は)ハウスでの作業中で、午後もずっと出たり入ったりになると思います」と告げられ、その日のコンタクトは諦めることになった。折しも太平洋上をゆっくりと進む台風13号の進路が関東地方に定まってきていた。

後日ようやく話を伺うことができた富士山アグリファーム社長の羽田了さんは、実は在籍出向中の都留信用組合職員だ。「富士山ブランドの夏いちごをつくる」というミッションを自身のキャリアの終章に託された。

「夏いちごというとちょうど今が収穫真っ盛りでしょうか?一番お忙しい時期だったでしょうか?」
「6月から収穫がスタートして7月、8月が最盛期。猛暑に台風と今年は気候が厳しいですが、それでもよく育ってくれて、もう人手もいっぱいいっぱいなんです」
「昨年2017年にスタートして、今年が2シーズン目なんですよね」
「いや、去年は試験栽培でしたから、ほとんど初めてみたいなものです(笑)」

夏いちごを専門に扱う北海道の農業法人、株式会社ホーブを視察するなど2016年から準備を進め、翌2017年には同法人から仕入れた1500株を試験栽培。今年は自社で育苗した苗も含めて12000株を育てる。収穫が終わるのは初霜が降りる頃だという。

標高800メートル、富士北麓の冷涼な気候を生かした夏いちご栽培。計1828m2の栽培面積に12000株を栽培。
標高800メートル、富士北麓の冷涼な気候を生かした夏いちご栽培。計1828m2の栽培面積に12000株を栽培。
ミツバチを用いた自然交配での受粉、また富士山から生まれる良質の水により、この土地独自の品質を目指す。
ミツバチを用いた自然交配での受粉、また富士山から生まれる良質の水により、この土地独自の品質を目指す。

舞台裏は悲喜こもごもの「富士夏媛(ふじなつき)」誕生

舞台裏は悲喜こもごもの「富士夏媛(ふじなつき)」誕生

着想から2年に満たない短期間に、市場調査、試験栽培、販路開拓とプロジェクトは淀みなく進んでいった。地元企業6社が出資する株式会社富士山アグリファームが発足したのは2017年10月。

「すごいスピード感ですね」
「ええ、自分たちが追いつけるかなというぐらいに(笑)。もっとじっくり事業として育てていくイメージだったのですが‥‥」
「どうして信用組合の職員である羽田さんがこの仕事をやることになったのですか」
「富士北麓というこの地域は織物と観光で潤ってきた土地柄で、そんなに農業に依存していないんです。でも山梨といえば桃やぶどうでしょ。そこでうち(都留信用組合)の理事長が『地域を代表するブランド果物が必要』と言い出しまして(笑)。夏いちごというアイデアも理事長のものです」

しかし、羽田さんに農業の経験は無い。立ち上げから中心的役割を担ってきたとはいえ、経営者として携わることになるとは予想外の展開だった。

「迷わなかったかと言われれば迷いました」

だがそんな迷いとは裏腹に、地域の未来を託す夏いちごに「富士夏媛(ふじなつき)」と名付けたのもこの頃の羽田さんだった。

「かわいらしい名前をとあれこれ考えまして、私が出した候補の中からみんなの意見を聞いて決めたものです。今、商標登録出願中です。商標登録って結構時間がかかるものなんですね」

都留信用組合の窓口感謝キャンペーンにて「ふじなつき」をプレゼント。
都留信用組合の窓口感謝キャンペーンにて「ふじなつき」をプレゼント。
富士の国やまなし館でのイベント。今年は都内数カ所でもイベント販売を実施。
富士の国やまなし館でのイベント。今年は都内数カ所でもイベント販売を実施。

甘さ・香り・大きさ、すべてがプレミアムな「富士山ブランド」

甘さ・香り・大きさ、すべてがプレミアムな「富士山ブランド」

「富士夏媛(ふじなつき)」の最大の特徴は甘みの強さ。糖度は16度以上にまでなる。あまおうや紅ほっぺといった人気品種と比べてもずば抜けた甘さを誇っている。絵本に出てきそうな美しい円錐形もブランドいちごとしては優位な品質。一粒が約30グラムという大きさもトップクラスだ。

「観光客など一般の人が食べたい場合はどうしたらよいのでしょう?」
「地元のホテルやレジャー施設などに納めているものが、飲食店のメニューとして提供されています。生のいちごでしたら観光客向けの売店で扱いがあります」
「現地に行かないと食べられないというのは希少価値がありますね」
「いやいや、今の収穫量だと地産地消になってしまうのですが、収穫量も認知度ももっと上げて将来的には『富士山ブランド』として首都圏に出荷したいんです」

5〜6個(約200g)で1500円程度と値段はやや張るが、普段食べているいちごとは明らかに別格の特別感を放っている。

「最近、農場で直売しているかという問い合わせも増えています。テレビ番組で取り上げてもらったりして、ジワジワと知られるようにはなっているんです。予約してもらえれば農場見学も受け付けています」

「甘くて香りが良くて大きいですから、自分へのご褒美にぜひ!」と最後までプロモーションに余念がない羽田さん。贈答品としてもおすすめと胸を張る。プロジェクトには地域の雇用創出という目的も含まれており、今後は人手を増やして収穫量を安定させ、デパートやフルーツ専門店にも売り込んでいきたいと話す。

美しい円錐形の実は一粒30グラムと大粒。
美しい円錐形の実は一粒30グラムと大粒。
糖度は16度以上。加工品の商品企画もスタートしている。
糖度は16度以上。加工品の商品企画もスタートしている。

プレミアム会員限定PRESENT

2019年農場見学ご招待チケット(富士夏媛のお土産付き)
5名様

応募締切
2018年9月30日(日)

賞品

profile

いちご農園
株式会社富士山アグリファーム(山梨県富士吉田市)

加盟店情報を見る
株式会社富士山アグリファーム

加盟店情報をもっと見る

ページTOPへ